世界の産婦人科

基本的に、海外では産婦人科といわれる診療科はありません。

なぜなら、出産を扱うのは産科、女性特有の疾病などを扱うのは婦人科と分かれているからです。

日本では、助産師による出産が主流の歴史が長く、産科と婦人科は明確に分けられないという時代を長くすごしていたため、明治維新後、海外から産科と婦人科という医学分野が入ってきたときに、産婦人科という新しい統合した診療科目を作ることが、最も適していたからです。

さて、カナダの産婦人科医の事情というと、まったく日本とは違います。

例えば、カナダの産婦人科医は初診の問診に50分もの時間を割いていますし、出産を扱う当番の産婦人科医もいますが、彼らは1日につき2人までしか出産を扱ってはいけない制限されたりしています。

この点だけ見ると、カナダの産婦人科には労働時間の延長や過酷な労働条件などはなく、非常にゆったりと仕事をしているように見えます。

なぜこのような体制になっているかというと、カナダは産婦人科医が出産にかかわることもあるのですが、ほとんどの場合出産にかかわるのは家庭医と呼ばれる、各家庭で全面的にお世話になっている医師がいるからです。

家庭医の専門科が産婦人科の医師というケースもあります。

家庭医が出産を扱うケースと産婦人科医が出産を扱うケースはほぼ同じくらいの人数でいますので、産婦人科医がすべての出産を扱っている日本と違い、出産を扱う産婦人科は国の1年間の出生数全体の約半分を扱えばいいということになります。

ですから、産婦人科医には余裕が生まれているのです。

またこの家庭医から産婦人科医への患者の引渡しということはほとんどなく、ほぼ家庭医が自分で行なおうとして産婦人科医の活動を制限したがる傾向にあるようです。

ですから、1日2件までしか出産にかかわってはいけないという制限が発生しているわけです。

さらに、産婦人科医が行なう普段の妊婦健診は非常に簡便で、超音波を見たりすることは、ほとんどありません。

また流産してしまったとしても、「生まれないものはどうやっても無理なんだ」という考えが一般的なため、訴訟がほとんどありません。

そのような状況なので、産婦人科医ははっきりいって、日本の数倍楽な働き方となっています。